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松岡恭子サロン アーカイブ #0

天神ビッグバンと人流データ分析

データで都市を読む

都市は誰がつくるのか。建築家・松岡恭子氏が人流データから読み解く、福岡都心の現在地と未来。

​2026年6月19日、Garraway Fで開催されたGarraway F 7周年感謝祭/社会課題に挑戦するリビングラボ「天神ビッグバンと人流データ分析」。

 

本記事では、建築家・松岡恭子氏による人流データをもとにした都市観測の視点と、最首英裕氏、黒瀬武史氏との議論から見えた福岡都心の変化を記録します。

 

GarrawayF7周年感謝祭/社会課題に挑戦するリビングラボ

14:50–15:45 第3部|“データ”
天神ビッグバンと人流データ分析― データで都市を読む ―

 

登壇者:

  • 松岡恭子氏(建築家/一般社団法人 都心空間交流デザイン(CDCC))

  • 最首英裕氏(株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長)

  • 黒瀬武史氏(九州大学大学院 教授)

  • 植野直亮氏(トヨタ自動車株式会社)

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2026年6月19日、Garraway Fで開催された「天神ビッグバンと人流データ分析」。

建築家・松岡恭子氏、グルーヴノーツ代表取締役社長・最首英裕氏、九州大学大学院教授・黒瀬武史氏による議論は、人流データの分析から始まり、都市計画、SNS、AI、そして都市の未来へと広がっていった。

目次

  1. コロナから始まった都市観測

  2. 何が人を動かしているのか人はデータで動いているのか

  3. 都市は物語でできている

  4. 天神と大名は別の都市へ進化するのか

  5. データから見える福岡の未来

  6. 編集後記

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Garraway Fで行われた第3部「天神ビッグバンと人流データ分析」の様子

1.コロナから始まった都市観測

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CDCCによるこれまでの流れ

2020年。

街から人が消えた。

その異常事態の中で、

「今、都市で何が起きているのか」を自分たちの手で観測しようと始まったのが、CDCC(一般社団法人 都心空間交流デザイン)の人流観測プロジェクトだった。

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2026年3月に開催された「福岡・天神の人流の今」

ONE KYUSHUミュージアム。

大名での人流計測。

天神各所へのセンサー設置。

約5年にわたり蓄積されたデータは、福岡都心部の変化を記録し続けている。

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天神・大名地区に配置された人流計測装置の計測期間

2.何が人を動かしているのか?

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西鉄福岡駅周辺の人流データ。季節イベントや台風などによる変化が確認できる

人流データを見ると、

クリスマス

ゴールデンウィーク

大型イベント

台風

などによる変化がはっきりと現れる。

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3人の登壇者から人流データ分析が発表された

しかし今回の議論で浮かび上がったのは、

「人は数字だけで動いているわけではない」

という事実だった。

コロナは消えていなかった。

しかし、人々は「安全になった」と感じた瞬間に街へ戻った。

都市を動かしているのはデータだけではない。

人間の感情であり、空気であり、物語である。

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最首英裕氏(株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長)

3.都市は物語でできている

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西鉄福岡駅周辺の人流データ。季節イベントや台風などによる変化が確認できる

講演後の鼎談では、人流データだけでは説明できない都市の価値、SNSによって生まれる街の物語性、AI時代の都市計画についても議論が広がった。これらの内容は、次回の鼎談アーカイブで改めて記録する。

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3人の登壇者から人流データ分析が発表された

大名が面白い。

白金が面白い。

六本松が面白い。

それは建物が突然変わったからではない。

人々がそう語り始めたからである。

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天神と博多駅周辺の人流の動きを語る黒瀬武史氏

かつては雑誌が街の物語を編集していた

シティ情報ふくおか。

各種情報誌。

そして現在。

Instagram。

TikTok。

YouTube。

さらにはAI。

都市は情報空間の中で絶えず再編集され続けている。

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大名地区をぶらぶら歩きする人々の動きについて語られた

4.天神と大名は別の都市へ進化するのか?

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西鉄福岡駅周辺の人流データ。季節イベントや台風などによる変化が確認できる

今回もっとも興味深かった仮説の一つが、

「天神大名は天神と大名・赤坂へ」

という視点だった。

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松岡恭子氏(建築家/一般社団法人 都心空間交流デザイン(CDCC))

天神ビッグバンによって、

天神はより高度な商業・業務機能の集積地へ。

一方で大名の南側や西側のエリアは、

個店文化

カフェ文化

若者文化

を軸とした独自の進化を始めている。

かつて一体として語られた「天神大名」の「大名」は、天神の西南部に広がる住宅地に生まれつつある変化の源流として発展するのかもしれない。

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松岡氏より語られたUMAGAに掲載された「飲食店の分布状況の違い」

5.データから見える福岡の未来

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天神の文化施設の変化

福岡市は成長都市として注目されている。

しかし、

少子化

高齢化

住宅供給の偏り

都市インフラ維持

という課題から自由ではない。

特に賃貸住宅市場では、単身向け住宅が増加する一方で、ファミリー向け住宅の不足が顕在化しつつある。

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九大生との都市実験について語る黒瀬氏

未来の都市は、

「今の需要に応えること」

だけではなく、

「未来に必要な都市を準備すること」

が求められている。

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「まちづくりに、市民や民間企業はどう参加できるのか?」を問う植野氏

興味深く3人の発表を聞いていたトヨタ自動車株式会社の植野氏から、「都市の未来を、行政・政治・大企業だけに任せず、生活者や民間はどう当事者として関われるのか?」というかなり本質的な投げかけがあった。

 

この問いに対して、黒瀬先生は「意思ある資本」と「市民参加の難しさ」を語り、松岡氏は「パブリックコメント」や「公共空間への関与」を語り、最首氏は、「古い価値を温存するのではなく、新しい価値の到達を早めることが変化を促す」という趣旨で応じた。

6.編集後記

今回のサロンで印象的だったのは、人流データそのものではなかった。

 

データを見ながら、

建築家は都市を考え、

研究者は物語を考え、

 

AI企業の経営者は未来の意思決定を考えていた。

立場は違う。

専門分野も違う。

しかし三人とも同じ問いを見ていたように思う。

 

「正解が存在しない時代に、私たちはどう未来を選ぶのか。」

 

都市は数字だけではつくれない。

感情だけでもつくれない。

制度だけでもつくれない。

AIだけでもつくれない。

 

だから観測する。

記録する。

議論する。

そして決める。

 

今回のサロンは、人流データ分析の会であると同時に、「都市の未来を考えるための小さな実験」だった。

その実験は、まだ始まったばかりである。

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Garraway Fで行われた第3部「天神ビッグバンと人流データ分析」の様子

鼎談アーカイブ #0

都市は誰がつくるのか

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鼎談の風景(最首氏と松岡氏)

次回は、松岡恭子氏、株式会社グルーヴノーツ代表取締役社長・最首英裕氏、九州大学大学院教授・黒瀬武史氏による鼎談をアーカイブします。

人流データから始まった議論は、都市の物語性、SNS、共同幻想、AI、そして未来の都市計画へと広がりました。

データだけでは都市は読めない。
感覚だけでも都市はつくれない。
では、これからの都市は誰が、どのように選び取っていくのか。

次回は、講演後に交わされた知的対話を
「都市は誰がつくるのか」
というテーマでお届けします。

松岡恭子 建築家

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電話番号 092-732-3121
ファックス 092-711-9551

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